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白夜行:日文版-第4章

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 弥生子はドアを開け、中に入った。笹垣も後に続いた。
「あっ、お帰りなさい」正面のカウンタ摔い肽肖颏堡皮俊D挲hは四十歳前後というところか。身体は細く、顎は尖《とが》っている。─趣筏矿姢稀ⅳ预盲沥辘绕撸咳朔证堡椁欷皮い俊
 弥生子はふうっとため息をつき、客用のものと思われる椅子に腰掛けた。
「どうでした」男は彼女の顔と笹垣を交互に見ながら訊いた。
 弥生子は睿Г耸证虻堡皮皮い盲俊!袱ⅳ稳摔浃盲郡铩
「何と……」男は顔を曇らせた。眉間に影の線が出来た。「やっぱり、その、殺されてたわけですか」
 彼女は首を小さく縦に振った。うん、と答えた。
「そんなあほな。なんでそんなことに」男は口元に手をやった。考えをまとめるように視線を斜め下に向け、瞬きを繰り返した。
「大阪府警の笹垣といいます。このたびはお気の毒なことでした」警察手帳を見せ、彼は自己紹介した。「おたくさんは、こちらの?」
「マツウラといいます。ここで働いている者です」男は引き出しを開け、名刺を出してきた。
 笹垣は一礼してその名刺を受け取った。その時、男が右の小指にプラチナの指輪をはめているのが目に入った。男のくせに気障《きざ》な奴や、と笹垣は思った。
 松浦|勇《いさむ》、というのが男の名前だった。『伲辘辘悉榈觊L』という肩書きが付いていた。
「この店では長いんですか」笹垣は訊いた。
「ええと、もう五年になります」
 五年では長いとはいえないなと思った。その前はどこで働いていたのか、どういう経緯でここで働くようになったのか、笹垣としては尋ねたいところだった。だが今日のところは我慢することにした。ここへはこれから何度も足を撙证长趣摔胜搿
「桐原さんは昨日の昼間にお出かけになったそうですね」
「はい。たしか二時半頃やったと思います」
「用件については、全くお話しされなかったわけですか」
「そうなんです。うちの社長はワンマンなところがありまして、私らにも仕事のことで相談してくれることは稀《まれ》でした」
「お出かけになる時、何かいつもと摺Δ趣长恧悉ⅳ辘蓼护螭扦筏郡7挨胃肖袱‘うとか、見慣れん荷物を持ってたとか」
「さあ、気づきませんでした」松浦は首を傾《かし》げ、その首の後ろを左手でこすった。「ただ、時間を気にしてるみたいな感じはしました」
「ははあ、時間を」
「腕時計を何遍も見てたような気がするんです。気のせいかもしれませんけど」
 笹垣はさりげなく店内を見回した。松浦の背後は、ぴったりと摇钉栅工蕖筏'じられていた。その向こうはたぶん座敷だろう。カウンタ巫髠趣隧惩选钉膜獭筏ⅳ辍ⅳ饯长榧窑松悉欷毪瑜Δ摔胜盲皮い搿I悉盲皮工白髠趣遂椁膜い皮い毪⑽镏盲摔筏皮厦瞍饰恢盲坤盲俊
「昨日は何時ぐらいまで店を開けておられました?」
「ええと」松浦は壁にかけられた丸い時計を見た。「ふつうは六時が椋У辘胜螭扦埂¥堡伞⒆蛉栅悉胜螭坤螭坤恰⑵邥r近くまで開けてました」
「店に出ておられたのは松浦さんお一人でしたか」
「はい、社長のいない時は大抵そうです」
「店を椋Г幛酷幛希俊
「すぐに帰りました」
「お宅はどちらですか」
「寺田町です」
「寺田町? 車か何かで通うてはるんですか」
「いいえ、電車を使《つこ》うてます」
 電車だと仱険Qえ時間を含めても、寺田町まで約三十分というところだ。七時過ぎにここを出たとすれば、遅くとも八時には家に着いていなければならない。
「松浦さん、御家族は?」
「おりません。六年前に離婚しまして、今は一人でアパ饶氦椁筏扦埂
「すると昨夜も、帰宅されてからはずっと一人ですか」
「まあそうです」
 つまりはアリバイなしか、と笹垣は確認する。ただし顔には出さない。
「奥さんはふだん、店のほうにはお出にならないんですか」笹垣は、椅子に座って手で額を押さえている弥生子に訊いた。
「私は店のことはさっぱりわかりませんから」彼女は細い声で答えた。
「昨日は外出されましたか」
「いいえ。一日中、家におりました」
「一歩も出なかったんですか。買い物にも?」
 ええ、と彼女は頷いた。その後、いかにもだるそうに立ち上がった。
「あのう、すみませんけど、ちょっと休ませてもらってもいいですか。何か、座っているのもしんどいんです」
「ああ、すみません。どうぞお休みになってください」
 弥生子は頼りない足取りで靴を脱ぐと、左側の扉の把手《とって》に手をかけた。扉を開くと、その向こうに階段が見えた。なるほど、と笹垣は迹盲筏俊
 彼女が階段を上がっていく足音が、再び椋Г袱椁欷快椁蜗颏长Δ槁劋长à俊¥饯我簸à皮椤⒐G垣は松浦のすぐ前まで近寄っていった。
「桐原さんがまだ家に帰ってないということは、今朝お聞きになったんですか」
「そうです。おかしいなあと奥さんと二人で心配していたんです。そうしたら警察から連絡があって……」
「びっくりしはったでしょうな」
「当たり前ですがな」と松浦はいった。「なんや、まだ信じられへん気分ですわ。あの社長が殺されたやなんて、何かの間摺い浃胜い人激い蓼埂
「心当たりは全然ないわけですな」
「そんなもんありません」
「けど、こういう商売をしてはると、いろいろな客が来るでしょう。金のことでこちらの御主人ともめてた人間とかおりませんでしたか」
「そら、中には変な客もおります。こっちは金を貸しただけやのに、逆恨《さかうら》みを買うようなこともないわけではないです。しかしねえ、いくらなんでも社長を殺すやなんて……」松浦は笹垣の顔を見返して、かぶりを振った。「それはちょっと考えられません」
「まあお宅も客商売やから、どんな客のことも悪くはいわれへんでしょう。けど、それでは我々としても捜査のやりようがないんです。最近の客の名簿か何かを見せてもらえると助かるんですけどね」
「名簿ですか」松浦は弱ったように顔をしかめた。
「当然あるわけでしょう。ないと、誰に金を貸したかわからんようになるし、伲荬喂芾恧猡扦螭悉氦扦工椁亭ā
「そら、ありますけど」
「すみません、ちょっと貸してください」笹垣は顔の前で手刀を切った。「本部のほうに持ち帰って、眩搐丹护皮猡恧Δ郡椤ⅳ工挨摔丹筏筏蓼工椤¥猡沥恧蟆⒌谌撙摔辖~対見られんよう、細心の注意を払います」
「私の一存ではちょっと……」
「そしたらここで待ってますよって、奥さんに許可をとってきていただけませんか」
「はあ」松浦は顔をしかめたまましばらく考えていたが、結局頷いた。「わかりました。そしたらお貸ししますけど、扱いには十分注意してくださいよ」
「ありがとうございます。奥さんのほうにはお断りしておかんでもいいですか」
「まあよろしいわ。後でいうときます。よう考えたら、社長はもうおれへんのやった」
 松浦は椅子を九〇度回転させ、すぐ横のキャビネットの扉を開けた。分厚いファイルが何冊か立てて入れてあるのが見えた。
 笹垣がさらに身を仱瓿訾筏堡繒rだった。階段の扉が、すうっと静かに開くのが目の端に入った。彼はそちらを見た。同時に、どきりとした。
 扉の向こうに少年が立っていた。十歳前後の少年だった。トレ施‘にジ螗氦趣いΤ訾橇ⅳ沥恰⑸硖澶霞殼盲俊
 笹垣がどきりとしたのは、少年が階段を下りる音が聞こえなかったからではなかった。少年と目が合った瞬間、その目の奥に潜む暗さに、衝撃を受けたのだ。
「息子さん?」と笹垣は訊いた。
 少年は答えない。代わりに松浦が振り返っていった。「ああ、そうです
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